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早春のロッキー紀行
By WWA Staff 三好美祢子
May 18, 2004

未だ浅い春のイエローストーン周辺を旅行した。5月になると動物達、野の佇まい、地熱活動の変動が気になる。毎年週末に2日くらい足して休暇をとり様子を見に出かける。

今年のルートは我が谷ティートンバレーから山スキーやトレッキングルートが豊富なことで有名なティートン峠を通りジャクソンホールに出てグランドティートン国立公園でハイキングし、イエローストーン国立公園では動物ウオッチング、地熱活動ウオッチング、トレッキング、そして北東の出口からチーフジョセハイウエイを通ってコーディ市を訪問。美術・博物館を訪れて帰りは東口からイエローストーン国立公園に入りモンタナ州のウエストイエローストーン市に出てアイダホの広大な農地を通り我が谷に帰る行程だ。

先ず我が谷を紹介しよう。アメリカで一番住みよい小さな町として選ばれたDriggsを中心に東西南を3000m<級の連山に囲まれた人口7000人足らずの標高1800mの渓谷だ。(図1) 精悍なネイティブカットスロートやレインボートラウトが生息する自然の川ティートンリバーが中心を流れ、アルファルファや菜の花、麦の農地が見渡す限りに広がる盆地。周りの山は雪のスポーツ、乗馬、登山やトレッキング、ハイキング、マウンテンバイクなど四季を通じてアウトドアの遊びを提供する。住民はことごとくアウトドア人間。フレンドリーで心の広い住民だ。その証拠に谷の商工会議所の事務局長は私が勤めている。アジア系の人間は3人だけ。一人は新しく入ってきた銀行のマネージメントをするフィリピン系の女性、一人は予約がある時だけ我が家をオープンしてグルメ料理で接待するユニークなレストランを持つ日本女性、そして私。所得平均が特に低い我が寒村では仕事を二つ持つのは常識だ。ワイルドウエストアドベンチャーズの仕事と両立しているのは有能なパートタイムのジノ君の存在が大きい。我が谷には日本にはあまり知られていない国際級のリゾート、グランドターギーとこれも国際級のゴルフ場を誇るティートンスプリングスリゾー トがある。年間1270cmの降雪、平均湿度5%以下の雪質、その恩恵がスキーリゾートやヒュッテからのバックカントリースキーなど冬のスポーツに限らず無数のクリークが流れ込むティートンリバーがあり農地が潤う。

さて出かけたのはうす曇の5月半ば。ティートン峠ではボードやスキーの跡があちこちに見える。頂上のパーキング場には車が止めてあるので山に入って新雪を楽しんでいるのだろう。ここからの東南の景色は天下絶品。あの[シェ-ン]の字幕のバックが此処から馬で下るシェ-ンを追う。あれから54年。ジャクソンホールは人口も増えリゾートタウンとして発展してしまったが環境を崩さない発展を試行錯誤だが試みている。 盆地の真ん中をスネークリバーが悠々と流れる。その亜流の小川では岸が崩れて鱒の産卵が妨げられないように住民やNPOが資金を出し合い、労力を提供し立派に保護されている。観光産業からの収入が第一のリゾート町はその根源である川やメドウを守る努力を惜しまない。

ジャクソンに向かう道路わきのメドウの中に小さな池がある。この池の中には又小さな島がありここに毎年trumpeter swanのツガイが子育てに訪れる。池の傍には電柱のような木の柱が立ち、その上にミサゴの夫婦が子育てをする。そして池の周辺にはカナダ雁や様々な水鳥が春になるとやってくる。今年も皆無事に戻って来てくれている。感謝!

ジャクソンの町を素通りしてグランドティートン国立公園に入る。接するたびに畏敬の念がこみあがり、祈りに似た敬虔な気持ちを誘うティートン連山の雄姿。今日はうす曇りの中私に迫る(図2)。

6月後半に公園を訪れるグループが早朝の乗馬トレッキングのあと湖畔をハイキングしてピクニックする場所を物色する。3キロあまりのトレイル。森林あり無人のビーチありの易しい行程。景色はごらんの通り。(図3)このビーチの流木に座ってお弁当を開こう。

イエローストーン国立公園に入る。ルイス湖の沿岸がまだ凍っているのを見てロアーループを間欠泉の原に向かってドライブ。イサレイク(といっても小さな蓮池)の両側から水が流れ出ていた。大陸分水嶺にまたがるこの水溜りからは春になるとかたや太平洋に、かたや大西洋に向かって流れ出る。夏の間はタダの水溜り。

間欠泉の原ではさすがにオールドフェイスフルの駐車場は賑わっていた。アイスクリームのダブルのコーンを片手に暫し散策。新しく湯気をだしている地面を近くから観察。イエローストーンでは訪れるたびに何かの変化がある。それが新しい温泉プールであったり激しくなった熱水の流出だったり流れていた温水がストップしていたり。口を開けて湯気をだしている地面であったり。自然のプロセスを守るというモットーを持つイエローストーンではそんな自然の変遷が観察できる。 

途中の草原でエルクを見かける。冬の毛皮が脱げ切れていないくすんだグレイがかった体にお尻だけが白く大きく目立っていた(図4)。角は冬の間に落ちて、今新しい角がベルベットといわれる皮に包まれて育っている。見かけたのは雌の群れだった。

ギボン川近辺では道端を小刻みに走っているコヨーテに出合う。立派な尻尾!幸いにも車の往来が無い場所だったので対抗線に入り大きく間隔をとって暫く一緒に走った。ドアを開けて[乗せてあげようか?]と声をかけたい衝動にかられる(図5)

暫くしてバイソンの群れに出会う。ギボンリバー沿いの道の脇を歩いているのだが狭い場所なので車はバイソンから距離を置いて彼らの歩調に合わせて前進するのが常識なのだが ユタ州のプレートをつけた大きなトラックは尻尾に触れないばかりに雌のバイソンを追っている。私たちは対抗線を徐行。ハラハラしながらこの無礼講を見ている。大きな雄のバイソンは後ろを振り返りながらこの様子を見ている。雌も後ろを振り返り首を振るがトラックのドライバーは我、関せずの行動。(図6)私はバイソンが通り過ぎたところでドライバーに大きな声を掛ける[もっと間を開けて!]ドライバーは知らん顔。ライセンス番号を書き取りレンジャーに知らせるべきだったとは、後で気が付く。ギボン平野では小さな散歩道があり山腹にある坊主地獄や小さな間欠泉、絵の具筆を洗った濁り水のような小さな水溜りが色とりどりにある中をループで歩けるようになっているのだが、今年から新しい道を作っている。この道は車で近くまで入れるようにしてあるのだが、このあたりは焼け野原になったロッジポールの森林だった場所。16年経った今は背が伸びきらないロッジポール松の中のトレイルを歩く。まるでガリバー旅行記の国に入ったような感覚。あたりの湿地帯には小さなシューティングスターが群生していた。(図7)

氷河の名残の池が続く。対岸でエルクの群れが一列になって駆け出している。15,6頭だろうか。狼にでも追いかけられているのか? 群れは暫く走った後立ち止まり後ろを振り返っている。ムースが好物のウイロー湿地帯を過ぎる。 バイソンやエルクの群れ三々五々道を横切る。静かなうす曇、5℃の午後。マウントエバートは頂上までのアプローチをみせて和やか。

マンモスホットスプリングスのループ道をゆっくりとドライブ。濃紺のスミレが群生している。温泉が流れ出ている川原への道は川の水量が多いので閉ざされていた。ガーディナー村に向かう。途中の川原にバイソン親子3頭が無心に草を食んでいた。オレンジ色の子供はまだうまれたばかり。 ガーディナー村で一夜を明かす。(図8)

翌朝ガーディナーは雨。公園の森は新雪で覆われている。ゲートで昨日通ってきた道は交通止めになっている事を聞く。積雪でスリップして危ない由。今日の目的はラマ-バレーでゆっくりと動物ウオッチングしてコーディ市までドライブする事なので、そのまま東に向かってドライブ。 雪が本降りになる中をイエローストーンの乾燥地を通る。これではイエローストーンリバーに掛かる橋桁を降りて川辺をトレッキングするのは取り止め。 ラマーバレーでは靄のなかに黒々と浮かぶバイソンやエルクが黙々と草を食む。遠くに 30頭くらいのバイソンの群れが立ち止まっている。 傍の枯れ木には大きな黒っぽい鳥が8羽 不気味にとまっている。 よく見ると大きな狼がバイソンの群れを見ながら群れの手前を端から端まで歩いている。 群れの向こう側にも狼らしい影がみえる。 雪は一層激しく風を伴って車の周りを舞い狂う。 一心に眼をこらして息を止めて見ている私をドライブを受け持つリードが[この雪ではモンタナからワイオミングに抜ける道が心配だ。悪いけどこの位でドライブを続けなければ。。。。] クックシティーからワイオミング州に抜ける山道は標高2458m一昨年の5月、吹雪に出会い冷や汗をかきながらやっと通り抜けた経験がある。眼前のドラマに後ろ髪を引かれる思いでラマ-バレーを北上。運転している車はスバルの全輪駆動。タイヤはオールシーズンに替えたばかり。でもタイヤに切り目をいれてもらったので少々の雪道は大丈夫なのだが 今度も超ノロノロ運転で吹雪の中を無事通り抜けた。 コーディではバファロービル歴史センター(Buffalo Bill Historic Center)を丹念に見て回る。これも毎年ツアーを始める前の私たちの行事だ。今年は常設の5つの博物・美術館に加えて彫刻家 A. P. Proctor の作品の展示会があった。いつもの事ながらこのセンターのスケールの大きさ、高度な展示物、ビジョンの次元の高さに感嘆。2日間、アメリカンロッキーをヨーロッパ観光市場に紹介する集会に出席する。私たちはアイダホ州東部、特にティートンバレーのアウトドアスポーツを紹介する役目を受け持っている。

会議が終わり午後3時頃コーディを後にする。コーディからイローストーン東口までの約70kmの道程はショショニ川に沿って火山岩の山襞を通る変化に富んだ美しいドライブだ。途中2頭のBig Horn Sheepに出合う。弧を描いた立派な角。車の進行方向に向かって道路を歩いている。十分に距離をおいてスピードを動物の歩行に合わせて暫く後を追う。(図9)やがて事も無げに柵を越えてショショニ川に下りていった。

公園で2番目に高い峠Silvan Passでは急斜面の雪にシュプールを見る。一体どこからスキーを持って来たのだろう。 Silvan Lakeの氷は緩み始めている。雪渓の傍にグレーシャーリリー(Glacier Lily)を見つける。この根は熊の大好物。静かに佇む可憐な姿をカメラに収めて車を進める。(図10)去年このあたりは山火事で通行止めになった事を思い出しながら西に向かう。 始めは所々に黒く焦げた立ち木に気がついたが、道を曲がると眼前一杯に黒々とした焼け跡が広がる。ロッジポールの黒こげの姿が痛々しい。火力が強かったようで土地まで焦げている場所が多い。(図11)イエローストーン湖伴まで続く焼け跡に自然の威力を見る。精々100年の生命を持つ我々人間の想像だに難しい自然の次元での摂理。この黒い立ち木も20年の内にはすべて地面に倒れ、新しい命の発育を促して自然の継続に貢献する。

イエローストーンリバーに沿ってヘイデンバレーを北上。ボロ布のような冬の毛皮をまとい、大きな頭を下ろして無心に草を食むバイソンの姿は春の日を浴びて長閑。長い厳しい冬を越して、さぞ安堵している事だろう。イエローストーンリバーの水量は異常に少ないように見える。レンジャーに尋ねる事とメモをとる。マディソンリバー脇で川を隔てて群れているバイソンを観察する。 オレンジ色の子供が母親からミルクを貰っている。うずくまって観察している私の傍で大きな声で話をしている2人ずれがいる。若いバイソンの雄が此方を見て小さく唸っている。2人連れは母親とハンディキャップを持つ息子だった。 母親は観察している事を丁寧に息子に説明している。声が大きいのは息子の耳が遠いのだろう。 暫くして2人連れが去った後 私は尚も残って辺りを観察する。清らかなマディソンリバーの流れは釣りの解禁前の静けさ。 突然私の頭を掠めるように2羽のカナダ雁が飛来してきた。 翼を一杯に広げて風にのり静かに草むらに下りる。(図12)

公園を出てウエストイエローストーンの町では簡単な夕食をとり、帰途を急ぐ。 大陸分水界を経てアイダホ州に入る。フライフィッシングで有名なヘンリーズフォークを経てアイダホの途方も無く広大な農地の中の一本道を通る。麦とアルファルファ畑は新緑に輝き植えられたばかりのポテト畑は黒々と大地に広がる.この旅を終えて新たにこの自然豊かな地に住む私の幸福をかみ締める。(走行距離:855km)

三好美祢子
Director, Wild West Adventures, Inc.
Executive Director, Teton Valley Chamber of Commerce
山口県出身
アメリカ在住 40 年
連絡先: P.O. Box 971 Driggs, ID 83422 U.S.A.
wwa@pdt.net


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